三菱商事 AIネイティブ・オンボーディング(グループ共通)

ようこそ、三菱商事グループへ|新しく仲間になったあなたへ|読了 約35分

はじめまして。そして、三菱商事グループへようこそ。
この資料は、入社したあなたが「三菱商事がいま、AIとどう向き合っているか」を、肩の力を抜いて掴むためのものです。むずかしい予備知識はいりません。読み終えるころには、自分の仕事を少しだけAIと一緒に進めてみたくなる――そんな状態になれたら成功です。

三菱商事は、7つの営業グループとグループ約6万2,000名からなる総合商社グループ。だからこそ、AIとの向き合い方も部署ごとにバラバラになりがちです。この資料は、どの部門で読んでも同じ前提・同じ言葉で語れるよう、グループ共通の資料として用意しました。各事業グループ固有のAI事例は、別の「部門モジュール」に分けています。

この資料の4つの柱。

① ここまで来た。「経営戦略2027」で価値創造メカニズムを磨き直すと宣言してから、全社のAIはもうここまで進んでいます。
② ここへ向かう。まだ大きな伸びしろがある。だから、こう進みます。
③ 一歩ずつ、チームで。気負わなくて大丈夫。自分のできるところから、チームで一緒に。
④ 三菱商事らしさ。数字も成長も追いますが、創業以来の「三綱領」と「総合力」という“らしさ”を何より大切に。

読み方本資料は公開情報(IR開示・公式サイト等)のみをもとに整理した社内オンボーディング用ドラフトです。[将来見通し]と付いた記述は経営戦略2027などの目標・見通しで、確約ではありません。数値・体制・役員は時点で変わるため、最新は公式開示でご確認ください。未公開の重要情報(MNPI)は使用していません。 確度表記:◎一次(IR/公式)/○準一次(公式オウンド・グループ会社)/△報道・突合。各記述末尾に出典を付記。

第1部 三菱商事のいま ―― ここまで来た、ここへ向かう

1-1. まず、三菱商事という会社

三菱商事は、エネルギー・金属資源から、機械・インフラ、自動車、食品・流通まで、あらゆる産業に接地面を持つ総合商社グループです。事業は7つの営業グループに分かれ、その下に多数の事業会社が連なります。

営業グループ主な領域(概観)
マテリアルソリューション化学品・素材のバリューチェーン
金属資源原料炭・銅などの資源(銅の持分生産量は本邦1位・世界20位以内)。AIインフラ/計算資源にも展開
社会インフラプラント・産業インフラ
エネルギー&パワーソリューションLNG(持分生産能力13百万トン超)・電力・再生可能エネルギー等
モビリティ自動車・モビリティ事業
食品産業食品の調達・製造・流通
S.L.C.生活・消費関連ソリューション

個々の事業は幅広く見えますが、三菱商事の強みは、これら多様な事業をグローバルに束ね、産業全体を俯瞰して新しい価値をつくる「総合力」。この「総合力をエンジンにする」という発想が、後で出てくるAI戦略の土台でもあります。グループ構成は2026年4月1日の組織改編(地球環境エネルギーと電力ソリューションを統合し「エネルギー&パワーソリューション」を新設)を反映。最新は公式開示で要確認。

発信三菱商事が大切にするのは、創業以来の社是「三綱領」(所期奉公・処事光明・立業貿易)。1920年の第四代社長・岩崎小彌太の訓諭をもとに、1934年に行動指針として制定されたものです。事業を通じた社会への貢献、公明正大でフェアな行動、世界的な視野――この3つは、AIをどう使うかという判断にもそのまま効いてきます(終章でくわしく)。 出典:三菱商事「企業理念」公式ページ ◎

1-2.【柱①②】経営戦略2027 ―― なぜ、どこへ

2025年4月3日、三菱商事は新しい全社戦略「経営戦略2027 ― 総合力をエンジンに未来を創る」を公表しました(社長:中西勝也)。前計画「中期経営戦略2024」の基本戦略を引き継ぎつつ、自社の価値創造メカニズムを次の3つに再定義したのが大きな特徴です。

Enhance磨く Reshape変革する Create創る 価値創造メカニズム = 好循環で「循環型成長モデル」を深化
経営戦略2027:E×R×Cの好循環。AIは Enhance(使う)→ Reshape(変える)→ Create(創る)の全段に効きます。
発信AIは、この戦略の中にはっきり位置づけられています。「Create(創る)」の打ち手として、新技術・AIを起点にした事業機会の創出が掲げられ、その推進エンジンとしてCVC推進室(2025年2月1日設置)とAIソリューションタスクフォースが明記されました。人材面でも「AI人材育成」が施策として並んでいます。つまりAIは“IT部門の話”ではなく、全社の成長戦略そのものです。 出典:経営戦略2027(2025/4/3 公表)◎/IR Day 2025/6/4 ◎

戦略策定の前提としても、生成AI・AIエージェントの急速な進展による産業構造の変化、データセンター・半導体需要の増加に伴う旺盛な電力需要が明確に挙げられています。三菱商事はAIを「使う道具」であると同時に「事業機会」として捉えているのがポイントです。

データめざす数字と、現在地。目標[将来見通し]は営業収益キャッシュフローの平均成長率10%以上、2027年度にROE12%以上、Net DER(負債資本倍率)は0.6倍を上限の目処。FY2025(2026/3期)実績は連結純利益8,005億円(当初予想7,000億円を上回る)、営業収益CF1兆481億円、ROE8.5%(目標12%には道半ば)、Net DER0.38倍(上限に対し健全)。「磨く・変革する・創る」合計4,000億円の増益計画は順調に進捗、FY2026は純利益1.1兆円を見込みます[将来見通し]。株主還元は累進配当+機動的な自己株式取得で、1株配当は2025年度110円→2026年度125円。AIは、この成長を支える手段・機会として位置づけられています。 出典:経営戦略2027(2025/4/3)◎/FY2025決算説明会(2026/5/1)◎/一部将来見通し

1-3.【柱①】ここまで来た ―― すでに動いている全社のAI

「これからAIをやる会社」だと思って入社したなら、いい意味で裏切られるはずです。三菱商事は、もう全社員が日常的にAIを使う段階に入り、さらにAIを“事業”として取りにいく段階にも踏み込んでいます。

Enhance磨く ―― 日々の生産性を底上げする

全社・データ全社生成AI「MC-GPT」は、すでに業務インフラ。2023年3月に「MC-GPT構想」の策定に着手し、同年6月から全社員が安全に使えるセキュアな生成AI環境を順次展開。2024年8月に「MC-GPTポータル」を公開し、月間アクティブユーザは1,000人超に。チャット、文書要約、社内文書検索(RAG)、文字起こし・議事録作成、資料レビューに加え、投融資稟議や売買交渉といった専門業務向けアプリの開発も進んでいます。 出典:MCD3(旧エムシーデジタル/三菱商事グループ)公開インタビュー(2025)○
全社・データ「使う力」を制度にした。全社員のAIリテラシー向上のため、2025年度より日本ディープラーニング協会の「G検定」取得を管理職昇格要件とし、全役職員に取得を強く推奨。2025年7月時点の取得者は956名に達しています(将来的には経営陣・海外出向者を含む拡大方針[将来見通し])。 出典:三菱商事 サステナビリティ「人材開発」◎

Reshape変革する ―― 業務とデータの“やり方”を作り替える

現場「業務そのもの」を変える実証も。財務経理領域では、生成AIで契約書・残高証明書から情報抽出を行う実証実験を実施。保証債務に関する情報抽出で平均97%の正解率、支払調書の要否判定で98%の再現率という結果が示され、チャットボットの域を超えた“実務での活用”に踏み込んでいます。 出典:PwC Japan/メディア公開記事(2024–2025)○(実証実験。継続検証中)
発信AI・データの専門会社を「3社統合」で強化。2025年7月、グループのインダストリー・ワン/エムシーデジタル/MCデータプラスの3社を統合し、MCD3(エムシーディースリー)を発足。デザイン×デジタル×データを束ね、事業構想からサービス提供まで一貫して担う、AI・DXの中核会社です(MC-GPTもこの系譜で支えられています)。 出典:MCD3 公式・プレスリリース(2025)○

そして、ここからが総合商社ならでは――AIを「使う」だけでなく「支える事業」としても取りにいっています。

Create創る ―― AIそのものを事業機会にする

データAIバリューチェーン(AIVC)は巨大市場。三菱商事はAIVCを3層で捉えています。①最終ユーザー向けのAIソリューション、②データセンター・電力からなるAIインフラ、③半導体・計算力の計算資源。市場規模はいずれも2024年から2035年に向けて急拡大の見通し(AIソリューション 51→263兆円、AIインフラ 146→660兆円、計算資源 29→425兆円)[将来見通し]。AIは“新たな電気”になりうる、というのが基本認識です。 出典:IR Day 2025/6/4(市場規模出典:EY)◎
発信すでに事業として動いている例。データセンターでは、世界大手Digital Realtyとの折半合弁MCデジタル・リアルティ(2017年設立)が本邦トップクラスの独立系DC事業者に成長、2024年には米国市場へ参入。計算資源では、Preferred Networks(PFN)と2024年に資本業務提携し、PFN・IIJとの合弁PFCI(2025年1月設立、出資はPFN51%/三菱商事39%/IIJ10%)が、PFNの省電力AIチップ「MN-Core」を使うAI向けクラウド「PFCP」を提供(2026年初に業務開始予定[将来見通し])。さらにJFEと、扇島地区で「データセンター×電力」の次世代型DC共同事業化を検討中(覚書締結)。 出典:IR Day 2025/6/4 ◎/PFCI設立リリース(2024/12)◎

現在地を一言でいうと――全社ツール(MC-GPT)=すでに日常/業務改革=実証から本格展開へ/AIインフラ・計算資源=事業として拡大中/そして一人ひとりの現場への浸透=これからの主戦場。あなたの一歩が、この最後のピースになります。

1-4.【柱①③】推進体制という、頼れる土台

「AIに興味はあるけど、何から?」――大丈夫。三菱商事には、全社のDX・AIを動かす専門組織と体制があります。

発信ポイントは、AIがトップダウン(経営直下の戦略・全社TF)ボトムアップ(現場のMC-GPT活用)の両方で回り始めていること。あなたは「ボトムアップ」の主役です。困ったら、デジタル系の専門組織や各部のDX推進担当に気軽に相談してください。 出典:経営戦略2027 ◎/IR Day 2025/6/4 ◎。※CDO等の現任者・最新体制は公式開示で要確認

1-5.【柱②】ここへ向かう ―― 伸びしろマップ

三菱商事には、まだ大きな伸びしろがあります。とくにAIが効くのは、「いままで人の判断と経験で回してきたが、まだ仕組み化しきれていない領域」です。だから伸びしろは、そのまま成長ロードマップになります。

伸びしろE/R/Cいまの状態AIで効く打ち手
① 全社の生産性EMC-GPTの利用が拡大中(MAU1,000人超)議事録・要約・社内検索・レビューの定着で、人を“判断”に戻す
② 業務プロセス改革R財務経理などで高精度の実証済み稟議・契約・売買交渉など専門業務へユースケース拡張
③ データ×AI(本丸)R基盤を構築中産業横断のデータを束ね、需要予測・最適化を量産
④ AIインフラ・計算資源CDC・計算力で参入・拡大中データセンター・電力・MN-Core計算力を事業機会に
⑤ 人材EG検定956名、AI人材を海外派遣で育成全社員が“使いこなす”状態へ(昇格要件化)
発信基盤構想=「産業DXプラットフォーム」。全産業を俯瞰できる総合商社の強みを活かし、需要予測などの機能をプラットフォーム化して企業の垣根を超えて提供する、というオープンな構想です。これが、データ×AIの“本丸”を支えます。 出典:三菱商事 公式DX紹介ページ ○

この伸びしろは、別の角度――「会社がいま、どんな人を採ろうとしているか」――からも裏づけられます。採用の動きは「社外から採ってでも埋めたいギャップ」を映すからです。本体とグループのAI実装エンジンMCD3の募集内容を重ねると、全体像はこう整理できます(公開求人からの外部視点の推察を含みます)。

三菱商事グループ AI「伸びしろ」俯瞰図 ― 本体 × MCD3
経営戦略2027「総合力をエンジンに未来を創る」価値創造メカニズム = Enhance × Reshape × Create / AIは「Create」と「人材育成」に明記
本体:需要・産業知見・MC-GPT基盤・資本を供給→ MCD3:実装する→ 現場で“ギャップ”が見える

本体の伸びしろマップ

グループ共通 1-5
E全社の生産性MC-GPT(MAU1,000人超)
R業務プロセス改革財務経理で実証(97%/98%)
Rデータ×AI(本丸)横断基盤を構築中
CAIインフラ・計算資源DC・電力・計算力で拡大
E人材G検定956名/海外派遣

実装エンジン=MCD3+推進体制

作る・届ける・束ねる
推進体制:産業DX部門+CDO/AIソリューションTF/CVC推進室(25/2)/金融アライアンス推進室(25/4)
共通基盤:MC-GPT/産業DXプラットフォーム/PFCI・MN-Core/MCデジタル・リアルティ
MCD3(25/7に3社統合)AIX23・プロダクト16・コーポ6件を採用中

MCD3のギャップ(実装現場)

求人記載からの推察
Ⅰ プロダクト化・横展開事例10産業超/作り切りになりがち
Ⅱ 製品工学・スケール組織「DSの技術だけでは解決不可」+EM不足
Ⅲ 事業オーナーシップ・海外受託→自社事業/英語の海外PM
Ⅳ 統合会社の背骨づくりIT統合・IFRS連結・セキュリティ
他のグループ会社のギャップ(事業現場の例) ―― 事業会社の採用・公表からも、同じ伸びしろが立ち上がります(○ 推察を含む):
三菱食品=レガシー基幹刷新が道半ば(「MS Vision 2030」でデータ基盤強化・AI徹底活用を2030年まで)/AI内製をスタートアップ連携で補完 → 本体③へ。
MCデジタル・リアルティ(三菱商事×Digital Realty)=東京・千葉・大阪で8棟、NVIDIA「DGX-Ready」認定。AI需要急増に対するDC供給・電力・冷却・設備人材が制約 → 本体④へ。

突き合わせて見える「3つの大きなギャップ」=最大の伸びしろ

① 実装・運用の手不足
作れるが「実装し、動かし続ける」人と仕組みが足りない(本体①②/MCD3 Ⅰ Ⅱ)。
② 横断データ基盤の未整備
データはあるが、束ねて横展開する共通基盤が途上(本体③/MCD3 Ⅰ)。
③ 専門人材の獲得・定着・配置
専門性を全社設計で束ね切れていない(本体⑤/MCD3 Ⅱ Ⅲ Ⅳ)。
ものさしは三綱領(所期奉公・処事光明・立業貿易)/ 主役は人、AIは増幅器
あなたへでも、これは「ギャップだけ示して“あとは頑張って”」という話ではありません。ギャップの多くでは、もう船が出ています――進行中のプロジェクトがあり、使える道具(装備)があり、先に乗り込んだ仲間がいます。あなたは見学者ではなく、乗組員です。次の章で、いま出航している旅と、その切符・地図・仲間を紹介します。 出典:本体・MCD3の公開情報/採用記載からの整理(推察を含む)○

これらに共通するのは「人の頭の中にある判断軸を、AIに渡せる形に言葉にする」こと。このあと学ぶ4つの原則は、どの旅でも“歩き方”として効いてきます。


あなたを待っている旅 ―― いま動いているプロジェクトと、その入口

ここまでで「どこに伸びしろがあるか」が見えました。ここからは旅行代理店のように、いま出航している“旅”(進行中の取り組み)と、切符(入口)・装備(使える道具とサポート)・同行者(仲間)を並べます。気になる行き先から、手を挙げてください。

1. 行き先カタログ ―― いま乗れる旅

「ギャップ」は“まだ誰も手をつけていない”という意味ではありません。多くはもう動いていて、装備(道具・基盤)と仲間が用意されています。だから、ゼロから一人で背負う必要はありません。

行き先(いま動いている旅)E/R/Cどんな旅か用意されている装備・仲間あなたの入口(最初の関わり方)
全社にAIを広める旅EMC-GPTを日常業務に根づかせるMC-GPT本体・利用ガイド・MCD3のサポート今日まず使う/社内の活用コミュニティに参加
経理・契約をAIで変える旅R定型の事務プロセスをAIで作り替える財務経理の実証成果(97%/98%)・専門職チーム自分の定型業務を1本、AI化として提案
産業のデータを束ねる旅R需要予測・最適化を産業横断で量産MCD3(Kaggle上位者が在籍)・産業DXプラットフォーム自部署のデータ課題をMCD3との協業に持ち込む
データセンターを建てる旅CAI需要に応えるDC・電力を供給MCデジタル・リアルティ(8棟・NVIDIA「DGX-Ready」)・JFE扇島の共同検討エネルギー&パワー/金属資源グループの案件で
国産の計算力を育てる旅C省電力AIチップでAIクラウドを提供PFCI(PFN・IIJと)/MN-Core/PFCP(2026年初開始予定[将来見通し]新技術・事業開発のテーマとして
新規事業を創る旅Cスタートアップ・投資家と新しい成長を取り込むCVC推進室(2025/2)・金融アライアンス推進室(2025/4)事業アイデアの提案/出資先との協業に参加
食品サプライチェーンを最適化する旅R製配販をつなぎ、需要予測・食品ロス削減三菱食品「MS Vision 2030」・MCD3の最適化技術食品産業グループの現場テーマで

出典:経営戦略2027 ◎/IR Day 2025/6/4 ◎/PFCI設立リリース ◎/三菱食品・MCD3・MCデジタル・リアルティ 各公開情報 ○(一部に推察・将来見通しを含む)。固有の事業会社案件は「部門モジュール」で詳述します。

2. 同行者 ―― こんな仲間が、もう乗っている

一人で旅立つわけではありません。社内には、背景もスキルもさまざまな同行者がいます。

データの達人

Kaggle上位者・競技プログラマーMCD3に世界レベルのデータサイエンティストが在籍。機械学習・数理最適化の最前線。

文理を越える人

多様なバックグラウンド文系大学院出身からテクノロジーコンサルタントへ、など。技術と現場をつなぐ役。

束ねる人

全社AIソリューションTF小山聡史 常務執行役員(金属資源CEO 兼 EX・AIソリューション担当)らが旗振り。

現場を変える人

営業・コーポレート出身事業の現場からDXに飛び込み、MC-GPTやデータ活用を広げる担い手。

インフラを支える人

DC設備・電力のプロデータセンターの電気・空調・運用を担い、AI時代の土台を支える。

創る・届ける人

エンジニア・デザイナー・PdMMCD3でPoCを製品・サービスへ。デザイン×デジタル×データの編成。

出典:MCD3 採用・公開記事 ○/IR Day 2025/6/4 ◎

3. 旅の装備と旅程 ―― 切符から、自分の旅を企画するまで

装備は最初からそろっています。順に手に取れば、いつのまにか遠くまで行けます。

  1. 切符(まず乗る):MC-GPTを今日使う。議事録や要約から。E
  2. 地図(土地勘をつける):G検定で基礎を学ぶ(昇格要件、取得956名)。E
  3. ガイド付きツアー(伴走で伸ばす):AI人材育成プログラム(海外エンジニアリングスクール派遣=2024年度7名→2025年度10名予定[将来見通し])、MCリーダーシッププログラム(2025新設)。R
  4. 本格遠征(実装する):MCD3や産業DX部門との協業案件に手を挙げる。R
  5. 自分の旅を企画(創る):新規事業・CVC・AIインフラのテーマを提案する。C
つまり「あとは頑張って」ではありません。船はもう出ていて、切符も地図もガイドも仲間もいます。あなたは乗組員。最初の一歩はE=MC-GPTを一度使うこと、それだけで十分です。次の第2部では、その旅の“歩き方(4つの作法)”を学びます。 出典:サステナビリティ「人材開発」◎/経営戦略2027 ◎

第2部 あなたの一歩 ―― できるところから、チームで

ここからは実践編です。難しく考えないでください。たった4つの原則を、今日の自分の仕事に一つだけ当てはめる。それだけで十分なスタートです。各原則は「なぜ → 三菱商事での活かし方 → あなたの番」で進みます。

  1. 仕事をほどく ―― 仕事を「入力・処理・出力」に分けると、任せられる工程が見える。
  2. 考え方を渡す ―― プロンプトは命令でなく“思考の設計図”。自社の「正解・理由・型」を渡す。
  3. 小さく始めて、人が確かめる ―― 完璧を待たない。AIは間違える前提で、最後は人が確認する。
  4. 巨人の肩に乗る ―― まず全社共通ツールを使う。自作は本当に必要な一点だけ。
つながりあなたの一歩も、会社の言葉E×R×Cのどこかに必ず効きます。E日々の仕事でAIを使う(磨く)R仕事のやり方そのものを変える(変革する)C新しい使い方・事業を提案する(創る)。最初はEで十分。続けるうちに、自然とR・Cへ広がっていきます。
約束(安全)機密・個人情報・取引情報は、許可された環境にしか入れない。三菱商事は多くの取引先・投資先の情報を扱う事業です。会社が許可したツール(MC-GPT等)以外に機密を貼らない/未公開の重要情報(インサイダー情報)は扱わない/公明正大・フェアであること(三綱領「処事光明」)。迷ったら専門組織やDX担当に相談を。くわしくは付録B。 出典:三綱領・企業行動指針 ◎

原則1 仕事をほどく ―― 入力・処理・出力に分ける

なぜ、これが最初なのか

「この仕事、AIにやらせられる?」と丸ごと考えると手が止まります。どんな仕事も入力(材料)→ 処理(考える・つくる)→ 出力(成果物)に分け、「ここはAI、ここは人」と置けば、必ず任せられる一工程が見つかります。

三菱商事での活かし方

現場会議と資料を“ほどく”。定例会議は「録音(入力)→ 要点整理(処理)→ 議事録(出力)」。この処理をMC-GPTの文字起こし・議事録機能に任せれば、清書の時間が大きく減ります。財務経理の実証で示されたように、「契約書から必要情報を抜き出す(処理)」のような“探して写す”作業ほど、AIに任せる効果が大きい工程です。 出典:MC-GPTの提供機能(MCD3公開事例)○/財務経理実証(2024–2025)○

あなたの番

原則2 考え方を渡す ―― プロンプトは“思考の設計図”

なぜ、これが効くのか

AIは「正解の知識」より「あなたの考え方」を知りません。良いプロンプトは命令でなく「どう考えてほしいか」の設計図。役割・手順・出力の形を渡し、さらに自社の「正解(あるべき姿)/理由(なぜ)/型(どう)」を渡すと、一般論でなく“三菱商事の答え”が返ります。

三菱商事での活かし方

現場社内の文脈ごと渡す。MC-GPTの社内文書検索(RAG)は、まさに「会社の知識と文脈を渡してから考えてもらう」仕組み。プロンプトでも、判断基準・前例・フォーマットを一緒に渡すほど、商社実務に沿った答えになります。G検定で学ぶAIの基礎知識は、この“渡し方”の質を上げてくれます。 出典:MC-GPTの社内文書検索機能(MCD3公開事例)○

あなたの番

原則3 小さく始めて、人が確かめる

なぜ、これが効くのか

AIは便利ですが、間違えます。だから「AIは間違える前提で、最後は人が確かめる」を最初から組み込みます。これは品質の問題であると同時に、三綱領「処事光明」(公明正大・透明)を守る仕組みでもあります。

三菱商事での活かし方

発信全社員が使うMC-GPTのような環境では、出力の最終確認は必ず人が行うのが原則。とくに対外文書・数値・契約に関わるものは、人のチェックを通してから世に出します。財務経理の実証でも、高精度であってもなお“人が確かめる”前提で実務適用が検討されています。「速さ」と「信頼」を両立させる線引きです。 出典:企業行動指針・内部統制の考え方 ◎/財務経理実証 ○

あなたの番

原則4 巨人の肩に乗る ―― まず共通ツールを使う

なぜ、これが効くのか

ゼロから自作するより、すでに安全に整えられた全社ツールを使うほうが速くて安全です。三菱商事にはMC-GPTという共通基盤があり、その開発・運用を専門会社MCD3が支えています。まずはこの「肩」に乗りましょう。

三菱商事での活かし方

現場MC-GPTは、最新の生成AI技術を取り込みながら、全社員が安定して使えるよう整備されています。自分で一から仕組みを作る前に、共通ツールでできないかをまず確認。本当に必要な一点だけ、専門組織と相談して足すのが賢いやり方です。さらに会社は、AIインフラ(PFCI/MN-Core)や計算力という“もっと大きな肩”まで自前で育てています。 出典:MCD3公開事例(2025)○/PFCI設立リリース(2024/12)◎

あなたの番

応用 自律と統制を両立する

現場が自由に試す「自律」と、情報管理・品質を守る「統制」は、対立しません。総合商社は、世界中で多様な事業を“規律ある成長”で束ねてきた会社です。AIでも同じで、「現場はどんどん試す。ただし許可された環境で、最後は人が確かめる」――この両立こそ三菱商事らしいやり方。判断に迷ったら、より公明正大で説明できる方(処事光明)を選びましょう。


終章 三菱商事らしく、続けていく

最後に、いちばん大事なことを。AIをどれだけ使っても、主役は人、AIは増幅器です。三菱商事が100年以上かけて築いてきた「総合力」――多様な人材が現場に深く関与し、信用と信頼を積み上げてきた力――を、AIは置き換えるのではなく、増幅するために使います。

三綱領判断に迷ったとき、立ち返る原点が創業以来の「三綱領」です。
所期奉公=事業を通じて社会に貢献する。
処事光明=公明正大に、活動の公開性・透明性を保つ。
立業貿易=全世界的な視野で事業を展開する。
AIの使い方も、この3つに照らせば迷いません。社会の役に立つか。フェアで説明できるか。広い視野に立っているか。 出典:三菱商事「企業理念」公式ページ(2001年の現代解釈を含む)◎
DNA三綱領は、1920年の岩崎小彌太の訓諭をもとに1934年に制定され、約100年、形を変えながら受け継がれてきた“ものさし”。新しい道具(AI)を、古くて確かな価値観で使いこなす――それが三菱商事らしさです。経営戦略2027でも、三綱領に立ち返り「経済価値・社会価値・環境価値」を同時に実現する、と明言されています。 出典:三菱商事「企業理念」◎/経営戦略2027 ◎

あなたの今日の小さな一歩――定例業務を「入力・処理・出力」に分けて、一工程だけMC-GPTに任せてみること――が、全社のAIネイティブ化の最後のピースになります。ようこそ、三菱商事グループへ。一歩ずつ、チームで進んでいきましょう。


付録A あなたの最初の一歩(レベル別)

付録B 安全に使うために

付録C 用語集(全社共通言語)

付録D 全社展開とガバナンス

全社にAIを根づかせるには、①使い方の浸透(研修・コミュニティ・ナレッジ共有)、②安全のルール(情報管理・人の最終確認)、③人材育成(G検定の昇格要件化、海外エンジニアリングスクールへの派遣=2024年度7名→2025年度10名予定[将来見通し]、2025年新設のMCリーダーシッププログラム)、④経営の旗振り(経営戦略2027での明確な位置づけ・全社TF)――の4つが噛み合う必要があります。三菱商事では、これらを産業DX部門・専任CDO・AIソリューションタスクフォース・MCD3が連携して進めています。あなたの「現場での活用」は、この全体像のいちばん大事な一部です。出典:経営戦略2027 ◎/サステナビリティ「人材開発」◎/IR Day 2025/6/4 ◎

1-5で見た「ギャップ(伸びしろ)」は、すでにある全社の武器とつなぐと“次の一手”になります。ギャップごとに、効く施策・基盤と、最初の一歩を整理しました(横断原則:最後は人が確認/許可された環境のみ)。

ギャップ(伸びしろ)E/R/C効く全社施策・基盤(既にあるもの)効く職種・組織最初の一歩(目安90日)
A 全社の生産性EMC-GPT/G検定リスキリング/AIエージェント各部DX推進担当・産業DX部門・MCD3定例業務を「入力・処理・出力」に分け、1工程をMC-GPTに
B 業務プロセス改革(法務・経理・開示)R財務経理実証(97%/98%)の横展開/決算・契約・開示の半自動化(人が最終確認)法務・経理(IFRS)・サステナ専門職定型の契約レビューor決算を1本AI化、人の確認を制度化
C データ×AI/PoCのプロダクト化R産業DXプラットフォーム/共通データ基盤/MCD3のPoC→SaaSデータエンジニア・MLOps/SWE・DS同種PoCを共通モジュール化し2事業へ横展開
D 製品工学・スケール組織Rプロダクトエンジニアリング/クロスファンクショナル編成プロダクトエンジニア・EM・PdMPoCに「製品化ゲート」を設け、UX/スケール/セキュリティを初期から
E 事業オーナーシップ・グローバルCCVC推進室/金融アライアンス推進室/本体の海外網事業開発責任者・海外PM(英語)横展開しやすいPoCを自社プロダクト/海外案件に育てる
F AIインフラ・計算資源CPFCI・MN-Core/MCデジタル・リアルティ/JFE DC共同検討事業開発・インフラ/電力人材AI計算・電力需要に自社資産を結ぶ案件を1件具体化
G 専門人材の獲得・定着・配置EAI人材育成(海外派遣7→10)/G検定/MCリーダーシッププログラム全職種+人事(タレント設計)専門人材のキャリアパス・処遇を全社設計、採用×リスキリングの両輪
H 統合会社の背骨・セキュリティ/ガバナンス土台コーポレートIT統合(IDaaS/ゼロトラスト)/ISMS・SOC2/内部統制コーポレートIT・情報セキュリティ・経理AI利用ルールとID/セキュリティ基盤を統合し土台を固める

読み筋:A・B=すぐ効く全社共通/C・D・G=中期・実装力依存/E・F=総合力の見せ場(海外網・資本)/H=前提条件(背骨・統制)[将来見通し]を含む整理で、ギャップの一部(特にH)はMCD3の統合直後の事情を反映しています。出典:経営戦略2027 ◎/IR Day 2025/6/4 ◎/人材開発 ◎/本体・MCD3の公開採用記載 ○(推察を含む)


この資料のもとにした情報

本資料は、以下の公開情報をもとに、社内オンボーディング用途で外部視点から整理したものです(確度:◎一次/○準一次/△報道・突合)。

本資料は、三菱商事株式会社の公開情報(経営戦略2027・統合報告書・有価証券報告書・コーポレートガバナンス報告書・人的資本/サステナビリティ報告書・IR/ニュースリリース・公式インタビュー等)をもとに、社内オンボーディング用途で外部視点から整理したドラフトです。将来に関する記述は将来見通しであり、確約ではありません。数値・固有名・体制は時点により変わるため、最新は公式開示でご確認ください。本資料は投資勧誘・対外公表を目的とするものではありません。未公開の重要情報(MNPI)は使用していません。