三菱商事 AIネイティブ・オンボーディング(グループ共通)
はじめまして。そして、三菱商事グループへようこそ。
この資料は、入社したあなたが「三菱商事がいま、AIとどう向き合っているか」を、肩の力を抜いて掴むためのものです。むずかしい予備知識はいりません。読み終えるころには、自分の仕事を少しだけAIと一緒に進めてみたくなる――そんな状態になれたら成功です。
三菱商事は、7つの営業グループとグループ約6万2,000名からなる総合商社グループ。だからこそ、AIとの向き合い方も部署ごとにバラバラになりがちです。この資料は、どの部門で読んでも同じ前提・同じ言葉で語れるよう、グループ共通の資料として用意しました。各事業グループ固有のAI事例は、別の「部門モジュール」に分けています。
この資料の4つの柱。
① ここまで来た。「経営戦略2027」で価値創造メカニズムを磨き直すと宣言してから、全社のAIはもうここまで進んでいます。
② ここへ向かう。まだ大きな伸びしろがある。だから、こう進みます。
③ 一歩ずつ、チームで。気負わなくて大丈夫。自分のできるところから、チームで一緒に。
④ 三菱商事らしさ。数字も成長も追いますが、創業以来の「三綱領」と「総合力」という“らしさ”を何より大切に。
第1部 三菱商事のいま ―― ここまで来た、ここへ向かう
1-1. まず、三菱商事という会社
三菱商事は、エネルギー・金属資源から、機械・インフラ、自動車、食品・流通まで、あらゆる産業に接地面を持つ総合商社グループです。事業は7つの営業グループに分かれ、その下に多数の事業会社が連なります。
| 営業グループ | 主な領域(概観) |
|---|---|
| マテリアルソリューション | 化学品・素材のバリューチェーン |
| 金属資源 | 原料炭・銅などの資源(銅の持分生産量は本邦1位・世界20位以内)。AIインフラ/計算資源にも展開 |
| 社会インフラ | プラント・産業インフラ |
| エネルギー&パワーソリューション | LNG(持分生産能力13百万トン超)・電力・再生可能エネルギー等 |
| モビリティ | 自動車・モビリティ事業 |
| 食品産業 | 食品の調達・製造・流通 |
| S.L.C. | 生活・消費関連ソリューション |
個々の事業は幅広く見えますが、三菱商事の強みは、これら多様な事業をグローバルに束ね、産業全体を俯瞰して新しい価値をつくる「総合力」。この「総合力をエンジンにする」という発想が、後で出てくるAI戦略の土台でもあります。グループ構成は2026年4月1日の組織改編(地球環境エネルギーと電力ソリューションを統合し「エネルギー&パワーソリューション」を新設)を反映。最新は公式開示で要確認。
1-2.【柱①②】経営戦略2027 ―― なぜ、どこへ
2025年4月3日、三菱商事は新しい全社戦略「経営戦略2027 ― 総合力をエンジンに未来を創る」を公表しました(社長:中西勝也)。前計画「中期経営戦略2024」の基本戦略を引き継ぎつつ、自社の価値創造メカニズムを次の3つに再定義したのが大きな特徴です。
- Enhance(磨く):既存の全事業を磨き、収益基盤を強くする。
- Reshape(変革する):環境変化を先取りし、業界再編やM&Aで事業を組み替える。
- Create(創る):新規投資やグループ横断の協業で、新しい成長を取り込む。
戦略策定の前提としても、生成AI・AIエージェントの急速な進展による産業構造の変化、データセンター・半導体需要の増加に伴う旺盛な電力需要が明確に挙げられています。三菱商事はAIを「使う道具」であると同時に「事業機会」として捉えているのがポイントです。
1-3.【柱①】ここまで来た ―― すでに動いている全社のAI
「これからAIをやる会社」だと思って入社したなら、いい意味で裏切られるはずです。三菱商事は、もう全社員が日常的にAIを使う段階に入り、さらにAIを“事業”として取りにいく段階にも踏み込んでいます。
Enhance磨く ―― 日々の生産性を底上げする
Reshape変革する ―― 業務とデータの“やり方”を作り替える
そして、ここからが総合商社ならでは――AIを「使う」だけでなく「支える事業」としても取りにいっています。
Create創る ―― AIそのものを事業機会にする
現在地を一言でいうと――全社ツール(MC-GPT)=すでに日常/業務改革=実証から本格展開へ/AIインフラ・計算資源=事業として拡大中/そして一人ひとりの現場への浸透=これからの主戦場。あなたの一歩が、この最後のピースになります。
1-4.【柱①③】推進体制という、頼れる土台
「AIに興味はあるけど、何から?」――大丈夫。三菱商事には、全社のDX・AIを動かす専門組織と体制があります。
- 産業DX部門+専任CDO:DX戦略を全社横断で推進する組織と統括役。
- AIソリューションタスクフォース:営業グループの枠を超えてAIバリューチェーン全体を俯瞰し、戦略策定・インテリジェンス構築・人材育成・AI実装に取り組む全社横断チーム。リードは小山聡史 常務執行役員(金属資源グループCEO 兼 EX・AIソリューション担当)。
- CVC推進室(2025年2月1日設置):スタートアップとの連携で成長の芽を継続創出。
- 金融アライアンス推進室(2025年4月1日設置):大手金融投資家との連携で、規模あるM&Aやポートフォリオ変革を加速。
1-5.【柱②】ここへ向かう ―― 伸びしろマップ
三菱商事には、まだ大きな伸びしろがあります。とくにAIが効くのは、「いままで人の判断と経験で回してきたが、まだ仕組み化しきれていない領域」です。だから伸びしろは、そのまま成長ロードマップになります。
| 伸びしろ | E/R/C | いまの状態 | AIで効く打ち手 |
|---|---|---|---|
| ① 全社の生産性 | E | MC-GPTの利用が拡大中(MAU1,000人超) | 議事録・要約・社内検索・レビューの定着で、人を“判断”に戻す |
| ② 業務プロセス改革 | R | 財務経理などで高精度の実証済み | 稟議・契約・売買交渉など専門業務へユースケース拡張 |
| ③ データ×AI(本丸) | R | 基盤を構築中 | 産業横断のデータを束ね、需要予測・最適化を量産 |
| ④ AIインフラ・計算資源 | C | DC・計算力で参入・拡大中 | データセンター・電力・MN-Core計算力を事業機会に |
| ⑤ 人材 | E | G検定956名、AI人材を海外派遣で育成 | 全社員が“使いこなす”状態へ(昇格要件化) |
この伸びしろは、別の角度――「会社がいま、どんな人を採ろうとしているか」――からも裏づけられます。採用の動きは「社外から採ってでも埋めたいギャップ」を映すからです。本体とグループのAI実装エンジンMCD3の募集内容を重ねると、全体像はこう整理できます(公開求人からの外部視点の推察を含みます)。
本体の伸びしろマップ
グループ共通 1-5実装エンジン=MCD3+推進体制
作る・届ける・束ねるMCD3のギャップ(実装現場)
求人記載からの推察・三菱食品=レガシー基幹刷新が道半ば(「MS Vision 2030」でデータ基盤強化・AI徹底活用を2030年まで)/AI内製をスタートアップ連携で補完 → 本体③へ。
・MCデジタル・リアルティ(三菱商事×Digital Realty)=東京・千葉・大阪で8棟、NVIDIA「DGX-Ready」認定。AI需要急増に対するDC供給・電力・冷却・設備人材が制約 → 本体④へ。
突き合わせて見える「3つの大きなギャップ」=最大の伸びしろ
作れるが「実装し、動かし続ける」人と仕組みが足りない(本体①②/MCD3 Ⅰ Ⅱ)。
データはあるが、束ねて横展開する共通基盤が途上(本体③/MCD3 Ⅰ)。
専門性を全社設計で束ね切れていない(本体⑤/MCD3 Ⅱ Ⅲ Ⅳ)。
これらに共通するのは「人の頭の中にある判断軸を、AIに渡せる形に言葉にする」こと。このあと学ぶ4つの原則は、どの旅でも“歩き方”として効いてきます。
あなたを待っている旅 ―― いま動いているプロジェクトと、その入口
ここまでで「どこに伸びしろがあるか」が見えました。ここからは旅行代理店のように、いま出航している“旅”(進行中の取り組み)と、切符(入口)・装備(使える道具とサポート)・同行者(仲間)を並べます。気になる行き先から、手を挙げてください。
1. 行き先カタログ ―― いま乗れる旅
「ギャップ」は“まだ誰も手をつけていない”という意味ではありません。多くはもう動いていて、装備(道具・基盤)と仲間が用意されています。だから、ゼロから一人で背負う必要はありません。
| 行き先(いま動いている旅) | E/R/C | どんな旅か | 用意されている装備・仲間 | あなたの入口(最初の関わり方) |
|---|---|---|---|---|
| 全社にAIを広める旅 | E | MC-GPTを日常業務に根づかせる | MC-GPT本体・利用ガイド・MCD3のサポート | 今日まず使う/社内の活用コミュニティに参加 |
| 経理・契約をAIで変える旅 | R | 定型の事務プロセスをAIで作り替える | 財務経理の実証成果(97%/98%)・専門職チーム | 自分の定型業務を1本、AI化として提案 |
| 産業のデータを束ねる旅 | R | 需要予測・最適化を産業横断で量産 | MCD3(Kaggle上位者が在籍)・産業DXプラットフォーム | 自部署のデータ課題をMCD3との協業に持ち込む |
| データセンターを建てる旅 | C | AI需要に応えるDC・電力を供給 | MCデジタル・リアルティ(8棟・NVIDIA「DGX-Ready」)・JFE扇島の共同検討 | エネルギー&パワー/金属資源グループの案件で |
| 国産の計算力を育てる旅 | C | 省電力AIチップでAIクラウドを提供 | PFCI(PFN・IIJと)/MN-Core/PFCP(2026年初開始予定[将来見通し]) | 新技術・事業開発のテーマとして |
| 新規事業を創る旅 | C | スタートアップ・投資家と新しい成長を取り込む | CVC推進室(2025/2)・金融アライアンス推進室(2025/4) | 事業アイデアの提案/出資先との協業に参加 |
| 食品サプライチェーンを最適化する旅 | R | 製配販をつなぎ、需要予測・食品ロス削減 | 三菱食品「MS Vision 2030」・MCD3の最適化技術 | 食品産業グループの現場テーマで |
出典:経営戦略2027 ◎/IR Day 2025/6/4 ◎/PFCI設立リリース ◎/三菱食品・MCD3・MCデジタル・リアルティ 各公開情報 ○(一部に推察・将来見通しを含む)。固有の事業会社案件は「部門モジュール」で詳述します。
2. 同行者 ―― こんな仲間が、もう乗っている
一人で旅立つわけではありません。社内には、背景もスキルもさまざまな同行者がいます。
データの達人
文理を越える人
束ねる人
現場を変える人
インフラを支える人
創る・届ける人
出典:MCD3 採用・公開記事 ○/IR Day 2025/6/4 ◎
3. 旅の装備と旅程 ―― 切符から、自分の旅を企画するまで
装備は最初からそろっています。順に手に取れば、いつのまにか遠くまで行けます。
- 切符(まず乗る):MC-GPTを今日使う。議事録や要約から。E
- 地図(土地勘をつける):G検定で基礎を学ぶ(昇格要件、取得956名)。E
- ガイド付きツアー(伴走で伸ばす):AI人材育成プログラム(海外エンジニアリングスクール派遣=2024年度7名→2025年度10名予定[将来見通し])、MCリーダーシッププログラム(2025新設)。R
- 本格遠征(実装する):MCD3や産業DX部門との協業案件に手を挙げる。R
- 自分の旅を企画(創る):新規事業・CVC・AIインフラのテーマを提案する。C
第2部 あなたの一歩 ―― できるところから、チームで
ここからは実践編です。難しく考えないでください。たった4つの原則を、今日の自分の仕事に一つだけ当てはめる。それだけで十分なスタートです。各原則は「なぜ → 三菱商事での活かし方 → あなたの番」で進みます。
- 仕事をほどく ―― 仕事を「入力・処理・出力」に分けると、任せられる工程が見える。
- 考え方を渡す ―― プロンプトは命令でなく“思考の設計図”。自社の「正解・理由・型」を渡す。
- 小さく始めて、人が確かめる ―― 完璧を待たない。AIは間違える前提で、最後は人が確認する。
- 巨人の肩に乗る ―― まず全社共通ツールを使う。自作は本当に必要な一点だけ。
原則1 仕事をほどく ―― 入力・処理・出力に分ける
なぜ、これが最初なのか
「この仕事、AIにやらせられる?」と丸ごと考えると手が止まります。どんな仕事も入力(材料)→ 処理(考える・つくる)→ 出力(成果物)に分け、「ここはAI、ここは人」と置けば、必ず任せられる一工程が見つかります。
三菱商事での活かし方
あなたの番
- 今日:自分の定例業務を1つ選び、「入力/処理/出力」で3分割する。
- 次に:最も“作業っぽい”一工程をMC-GPTに任せる(要約・たたき台など)。
- 得られるもの:「全部は無理でも、ここは任せられる」という最初の成功体験。
原則2 考え方を渡す ―― プロンプトは“思考の設計図”
なぜ、これが効くのか
AIは「正解の知識」より「あなたの考え方」を知りません。良いプロンプトは命令でなく「どう考えてほしいか」の設計図。役割・手順・出力の形を渡し、さらに自社の「正解(あるべき姿)/理由(なぜ)/型(どう)」を渡すと、一般論でなく“三菱商事の答え”が返ります。
三菱商事での活かし方
あなたの番
- よく使う依頼を1つ、「役割+手順+出力形式+判断基準」の型でテンプレ化する。
- チームの“暗黙の正解”を1つ言語化して、プロンプトに足す。
原則3 小さく始めて、人が確かめる
なぜ、これが効くのか
AIは便利ですが、間違えます。だから「AIは間違える前提で、最後は人が確かめる」を最初から組み込みます。これは品質の問題であると同時に、三綱領「処事光明」(公明正大・透明)を守る仕組みでもあります。
三菱商事での活かし方
あなたの番
- 小さな業務から試す。いきなり全工程を任せない。
- 「AIの下書き → 人が確認 → 確定」の一行ルールを、自分の業務に決めておく。
原則4 巨人の肩に乗る ―― まず共通ツールを使う
なぜ、これが効くのか
ゼロから自作するより、すでに安全に整えられた全社ツールを使うほうが速くて安全です。三菱商事にはMC-GPTという共通基盤があり、その開発・運用を専門会社MCD3が支えています。まずはこの「肩」に乗りましょう。
三菱商事での活かし方
あなたの番
- 新しいことを始める前に「これはMC-GPTでできないか?」を最初に問う。
- 共通ツールで足りない部分だけ、専門組織に相談する。
応用 自律と統制を両立する
現場が自由に試す「自律」と、情報管理・品質を守る「統制」は、対立しません。総合商社は、世界中で多様な事業を“規律ある成長”で束ねてきた会社です。AIでも同じで、「現場はどんどん試す。ただし許可された環境で、最後は人が確かめる」――この両立こそ三菱商事らしいやり方。判断に迷ったら、より公明正大で説明できる方(処事光明)を選びましょう。
終章 三菱商事らしく、続けていく
最後に、いちばん大事なことを。AIをどれだけ使っても、主役は人、AIは増幅器です。三菱商事が100年以上かけて築いてきた「総合力」――多様な人材が現場に深く関与し、信用と信頼を積み上げてきた力――を、AIは置き換えるのではなく、増幅するために使います。
所期奉公=事業を通じて社会に貢献する。
処事光明=公明正大に、活動の公開性・透明性を保つ。
立業貿易=全世界的な視野で事業を展開する。
AIの使い方も、この3つに照らせば迷いません。社会の役に立つか。フェアで説明できるか。広い視野に立っているか。 出典:三菱商事「企業理念」公式ページ(2001年の現代解釈を含む)◎
あなたの今日の小さな一歩――定例業務を「入力・処理・出力」に分けて、一工程だけMC-GPTに任せてみること――が、全社のAIネイティブ化の最後のピースになります。ようこそ、三菱商事グループへ。一歩ずつ、チームで進んでいきましょう。
付録A あなたの最初の一歩(レベル別)
- はじめて:MC-GPTで、今日の議事録の要約を1本つくる。
- 慣れてきた:よく使う依頼を「役割+手順+出力形式」のテンプレにする。あわせてG検定の学習(目安50時間程度)を計画に入れる。
- もっと:自部署の定例業務を3つ棚卸しし、「AI/自動化/人がやるコア」に仕分ける。各部のDX推進担当に共有する。
付録B 安全に使うために
- 会社が許可したツール(MC-GPT等)以外に、機密・個人情報・取引情報を入れない。
- 未公開の重要情報(インサイダー情報に当たり得るもの)は扱わない。
- 対外文書・数値・契約に関わる出力は、必ず人が最終確認。
- 誤解を招く表現や、規約・法令に反する使い方をしない(処事光明)。
- 迷ったら、デジタル系の専門組織・各部のDX推進担当に相談する。
付録C 用語集(全社共通言語)
- 生成AI:文章・画像などを“生成”するAI。ChatGPTなどが代表例。
- LLM(大規模言語モデル):大量のテキストで学習し、言葉を扱うAIの中核技術。
- RAG(検索拡張生成):社内文書などを検索して根拠を与えてから回答させる仕組み。MC-GPTの社内文書検索がこれ。
- AIエージェント:目標を与えると、自分で手順を考え複数作業を実行するAI。
- MC-GPT:三菱商事の全社向け生成AI環境(ポータル)。
- AIVC(AIバリューチェーン):AIソリューション/AIインフラ/計算資源の3層。三菱商事が事業機会として捉える枠組み。
- G検定:日本ディープラーニング協会のAIゼネラリスト資格。三菱商事は管理職昇格要件に。
- E×R×C:経営戦略2027の価値創造メカニズム。Enhance(磨く)×Reshape(変革する)×Create(創る)。
付録D 全社展開とガバナンス
全社にAIを根づかせるには、①使い方の浸透(研修・コミュニティ・ナレッジ共有)、②安全のルール(情報管理・人の最終確認)、③人材育成(G検定の昇格要件化、海外エンジニアリングスクールへの派遣=2024年度7名→2025年度10名予定[将来見通し]、2025年新設のMCリーダーシッププログラム)、④経営の旗振り(経営戦略2027での明確な位置づけ・全社TF)――の4つが噛み合う必要があります。三菱商事では、これらを産業DX部門・専任CDO・AIソリューションタスクフォース・MCD3が連携して進めています。あなたの「現場での活用」は、この全体像のいちばん大事な一部です。出典:経営戦略2027 ◎/サステナビリティ「人材開発」◎/IR Day 2025/6/4 ◎
1-5で見た「ギャップ(伸びしろ)」は、すでにある全社の武器とつなぐと“次の一手”になります。ギャップごとに、効く施策・基盤と、最初の一歩を整理しました(横断原則:最後は人が確認/許可された環境のみ)。
| ギャップ(伸びしろ) | E/R/C | 効く全社施策・基盤(既にあるもの) | 効く職種・組織 | 最初の一歩(目安90日) |
|---|---|---|---|---|
| A 全社の生産性 | E | MC-GPT/G検定リスキリング/AIエージェント | 各部DX推進担当・産業DX部門・MCD3 | 定例業務を「入力・処理・出力」に分け、1工程をMC-GPTに |
| B 業務プロセス改革(法務・経理・開示) | R | 財務経理実証(97%/98%)の横展開/決算・契約・開示の半自動化(人が最終確認) | 法務・経理(IFRS)・サステナ専門職 | 定型の契約レビューor決算を1本AI化、人の確認を制度化 |
| C データ×AI/PoCのプロダクト化 | R | 産業DXプラットフォーム/共通データ基盤/MCD3のPoC→SaaS | データエンジニア・MLOps/SWE・DS | 同種PoCを共通モジュール化し2事業へ横展開 |
| D 製品工学・スケール組織 | R | プロダクトエンジニアリング/クロスファンクショナル編成 | プロダクトエンジニア・EM・PdM | PoCに「製品化ゲート」を設け、UX/スケール/セキュリティを初期から |
| E 事業オーナーシップ・グローバル | C | CVC推進室/金融アライアンス推進室/本体の海外網 | 事業開発責任者・海外PM(英語) | 横展開しやすいPoCを自社プロダクト/海外案件に育てる |
| F AIインフラ・計算資源 | C | PFCI・MN-Core/MCデジタル・リアルティ/JFE DC共同検討 | 事業開発・インフラ/電力人材 | AI計算・電力需要に自社資産を結ぶ案件を1件具体化 |
| G 専門人材の獲得・定着・配置 | E | AI人材育成(海外派遣7→10)/G検定/MCリーダーシッププログラム | 全職種+人事(タレント設計) | 専門人材のキャリアパス・処遇を全社設計、採用×リスキリングの両輪 |
| H 統合会社の背骨・セキュリティ/ガバナンス | 土台 | コーポレートIT統合(IDaaS/ゼロトラスト)/ISMS・SOC2/内部統制 | コーポレートIT・情報セキュリティ・経理 | AI利用ルールとID/セキュリティ基盤を統合し土台を固める |
読み筋:A・B=すぐ効く全社共通/C・D・G=中期・実装力依存/E・F=総合力の見せ場(海外網・資本)/H=前提条件(背骨・統制)。[将来見通し]を含む整理で、ギャップの一部(特にH)はMCD3の統合直後の事情を反映しています。出典:経営戦略2027 ◎/IR Day 2025/6/4 ◎/人材開発 ◎/本体・MCD3の公開採用記載 ○(推察を含む)
この資料のもとにした情報
本資料は、以下の公開情報をもとに、社内オンボーディング用途で外部視点から整理したものです(確度:◎一次/○準一次/△報道・突合)。
- 三菱商事「経営戦略2027 ― 総合力をエンジンに未来を創る」(2025/4/3 公表)◎
- 三菱商事 IR Day 2025/6/4 資料(AIソリューションタスクフォース/AIVC/市場規模出典:EY)◎
- 三菱商事 FY2025決算説明会資料(2026/5/1)◎/組織改編(2026/4/1)
- 三菱商事 サステナビリティ「人材開発」(G検定956名、AI人材育成プログラム等)◎
- 三菱商事「企業理念(三綱領)」「沿革」公式ページ ◎
- 三菱商事「事業紹介(7営業グループ)」公式ページ ◎
- PFN・三菱商事・IIJ「PFCI設立」リリース(2024/12/三菱商事ニュースリリース)◎
- 三菱商事 公式DX紹介ページ(産業DXプラットフォーム)○
- MCD3(旧エムシーデジタル等3社統合・2025/7発足)公開インタビュー/プレスリリース ○
- PwC Japan/メディア公開記事(財務経理での生成AI実証:97%/98%、2024–2025)○(継続検証中)
- 三菱商事 キャリア採用サイト(career-mc)◎/MCD3 採用情報(HERP・採用ピッチ)○ ―― 1-5「俯瞰図」と付録Dの“ギャップ”は、これら公開採用記載からの外部視点の推察を含みます。